頭部外傷

頭部外傷とは、要するに頭を打って起る頭皮、頭蓋骨、脳などの変化をすべて総称したものです。

 頭皮の外傷:切創、裂創、皮下血腫(たんこぶ)など

 頭蓋骨骨折

 急性硬膜下血腫

 急性硬膜外血腫

 慢性硬膜下血腫

 脳挫傷

 瀰漫性軸索損傷

などに分けられます。

私のところでは、頭部を打撲して脳神経外科の外来を受診されたすべての方に 頭部外傷後注意書を渡しています。そして、気になることがあれば曜日にかかわらず時刻にかかわらず脳神経外科を受診するように患者さんに説明しています。

頭部を打った時の注意書:頭部外傷後注意書

頭を打ったときには,脳にいろいろな変化が起こります。特に頭蓋骨(頭の骨)の内側に出血が起こると生命に危険を及ぼすことが多いので注意が必要です。このような頭蓋内出血の症状は,頭を打ったあとすぐに起こることも1~2日,時には数日たってから起こってくることもあります。ですから現在何も症状がなくても十分注意しなければなりません。頭を打った後,元気だった人が急に死亡したりすることがあるのは,このような頭蓋内出血のためです。この頭蓋内出血は 頭蓋骨骨折(頭の骨の骨折)とは必ずしも関係しませんから頭の骨に異常がないからといって安心はできません。そこで,次に書かれたことを良く読んでくださ い。そして手遅れにならぬ前に,患者さんを病院へ連れて行くことが非常に大切です。次ぎのどれかがあるか,または,疑わしいと思われるときにはすぐにご連 絡ください。

  1. 頭痛(あたまいた)が,だんだん強くなる時。
  2. はきけや嘔吐(食べ物を吐いたり何も食べないのに物を吐く)が何回も起こる時。
  3. ぼんやりしてくる時あるいは放っておくとすぐに眠ってしまい起こしてもなかなか起きない時。
  4. 視力(物を見る力)が弱くなったり,物が2重に見えたりする時。
  5. 手足が動きにくくなったり,しびれたりする時。
  6. けいれん(ひきつけ)が起こる時。

*なお小さい赤ちゃん(子供さん)は,相当強く頭を打ったときでも,症状が出にくいことが多いので,たとえ元気にしていても2,3日は,目を離さないことが大切です。頭を打ったあと少なくとも1~2日は安静を保ち,1人で外出したりしないよう注意してあげてください。

*受傷後2~3か月して(遅くとも6か月以内),頭痛,吐き気,意識障害,歩行障害,視力障害などが現われてきた場合は,慢性硬膜下血腫と言って生命にかかわることがあり,特に中年以降の人に多いので,このような症状が出てきたらすぐに(曜日や時刻に関係なく,遠慮なく)脳神経外科を受診してください。